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酒井 聖文さんインタビュー

多様性が生まれる場所をつくる

2021年3月23日

幸雲南塾 4期生 酒井 聖文さん

−幸雲南塾に最初から関わっていると聞きました。

2010年8月に雲南市に移住し、キャンプ場の管理人をしていましたが、もっと雲南でのつながりもほしかったし、活動を広げていこうというタイミングで、人材育成をする事業をしていくので、一緒にやらないかと雲南市役所の方から声をかけてもらって、事務局になりました。1〜4期通じて事務局で、4期は塾生も兼ねました。最初は、知らなかっただけで、若い人が雲南にいるんだ、っていう出会いがあったのは大きかったですね。塾の発端は、もともと、江津のビジネスプランコンテストに触発された中で、でも、雲南ならビジコンじゃなくて、お互いにゆるい信頼関係をつくって無理なく持続する方が可能性があるのではないか、人口が少ないし、空いた時間に無理なく行う人材を育てる方がマッチするのではないか、ということでした。

−どう変化してきましたか?

1期は、誰もが想像できていなくて、本当に手探りで、1年やってみて、尾野さんが「(くらしアトリエの)栂さんのような人が出てくればいい」と言ったのを聞いて「え、早く言ってよ」って思ったくらいです(笑)正直に言うと、起業する人をつくるのか、ネットワーク化を目指したサークルなのか、迷っていたころがありました。1期は13人が卒業し、実際にアクションをおこす人が出てきて、来年もやろうと。2期の存続が危ぶまれていたという裏話もありますが、その後も続いています。2期、3期は卒業生からを含めて信頼できる人からの紹介が多く、人材募集がやりやすかったです。最初は内輪の勉強会に近く、地元のかかわりが薄かったですが、やっているうちに地元からの一般聴講が増えて、お父さんお母さんの目線から大丈夫か、今後が気になる、という風になっていったのはうれしかったですね。2期3期は11人、4期が25人で、これまで合計60人が卒業(※インタビュー当時:2015年3月時点)しました。

−運営、塾生としてどんなことが学びになりましたか?

考え方というか、何か取り組みを始めるときのプロセスなど、議事録をとりながら「ああこうやって考えればいいんだ」と、とても勉強になりました。掛合のみだった自分の視野も、雲南市全体、島根、中国地方へと広がりました。徳島県神山町、島根県海士町、岡山県西粟倉村など、地域づくりの最先端の地域に視察に行けたのも大きかったですし、一般聴講者からの意見もありがたかったです。今取り組んでいる「場づくりの学校」も、自分にとってのチャレンジで、当初は建築のプロでもないので不安もありましたが、一般聴講者から松江のフラットスタイルの松崎さんを、紹介してもらったことで、よりよい場になりました。

−その場がもうすぐ完成ですよね。

(※インタビュー当時:2015年3月、その後2015年5月より『三日市ラボ』としてオープン)
もともとは、市役所の定住の仕事の一環で、仕事ができる場所があれば移住者がきてくれるだろうということで、築80年の古民家を去年1年かけて改修しました。改修工事は半年ですが、構想は2年かけています。今後、ここをコワーキングスペース・シェアオフィスとして、多様性が生まれる場所にしたいと考えています。地元/移住者、職種、年代など様々な立場の人が出入りする場所になることで、新たなコミュニティが創られ、地域に向けたプロジェクトやチャレンジが起こっていく。例えば、たたら製鉄で言えば、おっちラボが、「ふいご(※製鉄の際、炉の温度を保つため人工的に風を送る機械)」として風をおくり、地域に飛び出す活動につなげていきたい。幸雲南塾は、誰よりも一番見てきましたし、自分を育ててもらった場所でもあります。

聞き手:田中輝美(ローカルジャーナリスト)

三日市ラボ

雲南市木次町木次29
TEL 0854‐47‐7373
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